7月4日、公費で1万2千ユーロ分の葉巻を吸ったことがマスコミにたたかれ、クリスチャン・ブラン首都圏開発担当相(68)が辞任。「パリをルアーヴルにまで拡大することを目指す〈グラン・パリ〉という任務をまかされ、18カ月間馬車馬のように働きづくめだったので、気がつかなかった。葉巻にかかる異常な経費に気づいて、私は3回に分けて私の省の葉巻代を返済した。この葉巻事件は意識的に誇張されている。以前葉巻はロマンチックなものだったが、今では、権力と傲慢さの同義語になり下がってしまった。それに引き替えセックスやコカインにはマスコミは無関心」と、エクスプレス誌におさまらない怒りをぶちあけた。といっても返済したのは4500ユーロのみ。フィヨン首相は全額を返済すべきとプレッシャーをかけるが、ブラン氏は、自分の秘書だったギヨーム・ジュブロ氏が吸ったものだと反論。
これに対しジュブロ氏は「私は泥棒ではない。葉巻を盗み吸いはしていない。残りもブラン氏か彼の招待客が吸ったものだ。辞職する前に葉巻の残り数を数えておいてよかった。1021本買ったうちの274本が残っていた。日割りすると一日2.49本。(…)ブラン氏の私への責任転嫁はこっけいだ。ブラン氏は人前で吸うの常だったから、みんな彼がどれだけ吸うかは知っている。多い時は日に5本は吸っていた」
クリスチャン・ブランは、パリ地下鉄RATP 社長、エールフランス社長などを務めて労使問題の解決に敏腕を振るった後、2002年に中道派UDFから出馬して国民議会議員に当選。以来与党と中道派の橋渡しの役を務めていた。2008年3月以来、首都圏開発担当相として活躍していただけに、「もったいない」辞任劇だった。(真)