サルコジ大統領の息子、ジャン・サルコジ(23)は10月22日のテレビでのインタビューで、「数日来、カリカチュアと過度の非難があったが、真実の部分もあった。周りの声に耳を傾け、じっくりと考えた」と前置きしてから、ラ・デファンス地区開発機関EPAD理事長への立候補を断念すると表明。立候補の意向を示して以来短く切った髪、実直そうな眼鏡をかけた「王子ジャン」の口調には、初めてともいえる政治的敗北への苦い思いが自ずとあふれ出た。
ジャン・サルコジは、1986年9月1日、ヌイイ・シュル・セーヌ市で、サルコジ大統領の最初の妻マリ=ドミニク・クリオリの次男として生まれる。代父はオルトフ現内相。父母は彼が3歳の時に別居し、母親のもとで育つ。その母は、彼が6歳の時にガンを患うなど、楽ではない幼年時代だった。17歳で文科系のバカロレアを取得したが、あまり勉強は得意ではなかったらしく、18歳から19歳にかけては演劇を志したりした。父親にならって弁護士を目指し20歳でパリ第1大学の法科に入学。ここでも2回落第。このあたりが、フランスだけではなく海外のマスコミからも実力不足とからかわれた。
2008年のヌイイ・シュル・セーヌ市長選では、UMP公認のダヴィッド・マルタンに反旗をひるがえし、候補から引きずり降ろす画策の中心となるなど政治的野心は、父親ニコラを上回るのでは、といわれている。同年9月、家電の大手チェーン店〈Darty〉の経営者の娘、ジェシカ・スバウン=ダルティと結婚。
「数年後には選挙民を前にして闘いたい!」とテレビでのインタビューを終えた。(真)