25日夜から26日朝にかけ、フランス各地で激しい雷雨があり、農作物や家屋に大きな
被害が出た。パリ以北ではテニスボール大のひょうが降ったところもあった。
●インターネット法案、最終成立
違法ダウンロード規制を含むインターネット関連法案が5月12日に国民議会で、13日に上院で可決され、最終成立した。この法案は違法に音楽や映画をダウンロードすると、
1回目は電子メールによって、2回目は書留で警告され、3度目にはインターネット接続を停止される。この法案については与党内でも反対意見があり、4月9日には与党議員の欠席多数のため否決された。社会党は5月19日、推定無罪の原則が尊重されていない、インターネット接続を停止されても接続料を支払う義務がある「二重罰則」などが違憲だとして、憲法評議会に提訴した。
●Natixisに家宅捜索
5月19日、投資銀行Natixis本社および同社の親会社バンク・ポピュレール(BP)、ケース・デパルニュ本社が家宅捜索された。偽決算書、架空の配当金情報を見せられてNatixis株を買わされたというNatixis小口投資家の訴えによる予審の一環だ。Natixis株は2006年11月に上場されたが、当初は1株19.55ユーロだったのが、米サブプライム危機の影響で08年度に28億ユーロの赤字を計上し、現在は1.42ユーロまで下落。なお、同日、BPとケース・デパルニュ両行の合併に関する法案が国民議会で可決された。
●ほぼ全大学で封鎖解除、正常化へ
今年2月ごろから大学改革に反対する抗議運動によって全国で約30大学が一部封鎖されていたが、次第に正常化している。ソルボンヌなどパリの大学は5月20日、学生投票で封鎖解除を決定。前後して地方の大学でも封鎖が解除され、25日現在でほぼすべての大学が正常化した。しかし、補習授業や試験を急きょ実施するのは難しく、各大学は対応に苦慮している。この抗議運動によって、政府は大学教員の資格変更を大学の裁量に任せ、教職員のポスト削減や教員採用制度変更を2011年に延期するなど譲歩した。
●教育相、学校への治安要員介入を提案
ダルコス教育相は5月21日、校内暴力の予防・監視のために学校内への「機動治安職員」導入を検討していると表明した。機動治安職員は警官ではないものの、訓練を受けた職員で、大学区長の要請で校内に入って武器の押収や生徒の持物検査を行うことができる。教員組合は、教師に対する横柄な振る舞いや生徒間の争い、言葉による暴力などには何の役にも立たないとして、教育相の提案を厳しく批判。また野党は校内監視員数を削減する政府の方針と矛盾していると非難。15日にもオート・ガロンヌ県の中学で教師がナイフで刺されるなど、校内暴力事件は頻発している。
●SNCF妨害事件の容疑者、インタビュー
2008年11月にTGV運行を妨害した事件の主犯として逮捕され、今も勾留中のジュリアン・クパ容疑者(34)の書面インタビューが、5月25日付ルモンド紙に掲載された。同容疑者は、警察が容疑の主要な証拠としている本「L’insurrection qui vient(やってくる反乱)」の作者ではないと明言。この事件では、昨年11月にコレーズ県タルナックで9人がテロリスト極左グループとして逮捕されたが、クパ容疑者を除く全員が証拠不十分で釈放。1~5月にもグループの知人や容疑者らを支援する組織のメンバーら19人が逮捕されたが、釈放された。
●アラブ首長国連邦にフランス軍基地
5月26日、アラブ首長国連邦のアブダビで仏軍基地の開設式典がサルコジ大統領出席のもと執り行われた。旧植民地であるアフリカ以外で仏軍基地を設けるのは初めて。この機会にアラブ首長国連邦とフランスの間に新たな防衛協定が締結され、同地域が攻撃された場合はただちに仏軍が出動することになる。同地域への仏軍配備は西側への対抗姿勢を強めるイランに対し、原油供給地である同地域を守るための措置。基地は海軍を中心とする兵士500人が常駐する。さらに、フランスは同地域での兵器輸出や原発技術を売り込むもくろみもある。