「サパテロ(スペイン首相)は、それほど頭がよくない。(スペインに)とても頭のいい人もいたが、決選投票の前に姿を消してしまった」。「アンゲラ・メルケル(ドイツ首相)が自国の銀行や自動車産業の危機にようやく気がついた時、彼女は私の提案に同意する以外の選択肢はなかったのだ」。「オバマ米大統領はとても頭がよくて、カリスマ的かもしれないが、選ばれて2カ月経っているというのに、彼の人生を賭けた要職にいながら大したことはしていない」などと各国の首脳たちをこきおろしたのは、なんとサルコジ大統領。それも4月15日、国民議会や上院の議員24人を前にしての公式の席での発言だから、問題が大きくなった。議員の証言などをもとにしながらこの発言を報道したのはリベラシオン紙。与党UMPスポークスマンのルフェーヴル議員は「リベラシオン紙は政党の宣伝ビラに似てきている。うその情報を吹聴しつつ、私たちの国のイメージを悪くしている」としらを切った。
この発言に対し、さまざまな批判の声が上がったのは当然といえば当然。たとえばスペインの日刊紙エル・モンドのルベン・アモン記者は言う。「私の情報から見てもサルコジ大統領がそう言ったことは確か。この発言はスペインでは大反響を呼び、右派の民衆党がスペイン国家を弁護するために社会党のサパテロ首相を支持したくらいだ」。スペインの日刊紙ABCは、竹馬のように高いかかとの靴を履いたサルコジ大統領の風刺画を掲載し、吹き出しは「なるほど私は、他の指導者たちよりものごとをよく見ることができる!」。そして社会党のロワイヤル前大統領候補は、フランスの名においてと、サパテロ首相に謝罪状を送る。それに対してはさすがに社会党内からも「セゴレーヌがサルコジ大統領が失言するたびに謝っていたら、一生ひざまずいていなければならない。政策で勝負すべきだ」などといらだちの声も。
4月23日、今度はUMPの欧州議員選挙を率いるダチ法相が、同党若手党員を前にし、またまた問題発言。「欧州は、私たちが取り上げてくれ、と提案したことを取り上げる。取り上げてもらいたい問題を持ち寄る人たち、すなわち私たちによって」。この欧州議員の役割と能力を軽蔑する内容に、同党議員たちもびっくり。「彼女は才能ゼロなのか、欧州議会選キャンペーンにブレーキをかけるつもりなのか」と、サルコジ大統領に見切りをつけられ、法相から欧州議員候補リストの次席の座に回されたうらみから(648号参照)、と勘ぐる議員も多かったという。(真)
写真:4月24日付リベラシオン紙の表紙。