サブプライムローン問題に起因する米金融危機の欧州への影響が、9月末から雪崩をうつように一気に表面化してきた。英国、ベルギー、ドイツ、フランス、イタリアなど各国で次々と金融機関の資金繰りの破たんが明らかになり、国有化、公的資金の注入、合併・買収などのあわただしい動きがメディアをにぎわせている。金融グローバル化によって予測されていた事態のはずなのに、各国政府の対応はあたふたといった感じだ。10月4日に急きょ開催された英、独、仏、伊の4カ国首脳会議では、「4カ国が協調しつつも各国それぞれのやり方で対処する」ことを確認したに止まった。7日には欧州連合財務省理事会で、金融機関が破たんした場合に政府が保証する個人預金の額を従来の2万ユーロから5万ユーロに引き上げることに合意した。さらに時期悪しく、ユーロ圏は景気後退に突入しつつある。国立統計経済研究所INSEEによると、経済成長は2008年度全体ではまだプラス1.1%ながら、第3、第4四半期ともマイナス0.1%。これに物価高騰も加わって、国民はますます先行きに対する不安を禁じえない。(し)