昨年のカンヌ映画祭・監督週間の開幕作品に選ばれた『茶の味』という変わったテイストの日本映画が『The taste of tea』という英語題で4月20日に公開される。監督は『鮫肌男と桃尻娘』で知られる石井克人。彼の特色といわれる〈オフビートなギャグ〉というのがちっとも楽しめないので、今回も、最初は笑えないギャグにシラっとした気分で耐えていた。ところが、なんか挿入されるエピソードの数々のホンワカさが次第に勝って、最後はけっこうイイ感じで観終わった。今まで味わったことのない映画体験といっては持ち上げ過ぎか? 春野家の人々…、パラパラ動画を描くことに熱中する嫁と舅、一目惚れした転校生へのアプローチがなかなかできない長男のハジメ君、鉄棒の逆上がりに挑戦中の妹、サチコちゃん、父はワンカップ大関が好きな催眠治療師…。この一家は田舎に住んでいて2両編成のローカル線で通勤通学している。そんなノドカな風景も、皆みんながすする日本茶も、ふっと心を和ませてくれる。そしてついには超ナンセンスな「山の歌」の録音光景にも、オバカ度が過ぎて吹き出してしまうほど、映画のペースに完全に巻き込まれていた(吉)であった。 我らが手塚治虫原作『ジャングル大帝』97年の劇場版が『Leo, roi de la Jungle』として公開される。近年ではディズニー・アニメ『ライオン・キング』が盗作したのではないか? ということで話題になった日本アニメの古典だ。ヒューマニズムに溢れた(といっても動物が主人公ですが擬人化されてますから…)理想主義的な物語。友情と正しく生きることの尊さを教えてくれる。大人の目には、懐かしさは別にして、勧善懲悪がちょっと歯がゆいが安心して子供に観せられる春休み作品ということで推薦! VO(日本語版)上映館を探せ!(吉) |
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DVD ●Au hasard Balthazar (Arte vids) ロベール・ブレッソン監督の作品の何本かがDVDになった。何よりも手に入れたいのは『バルタザールどこへ行く』。卑小さと邪悪さに満ちた人間界を見つめながら生き抜いたロバのバルタザール。ラストがすごい。銃声、そしてフェードインすると、バルタザールの腹の銃創のアップ、どくどくと流れる血、死が近づく。そして羊たちが彼を囲み、生は続いていく。(真) |
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