アコーデオンでジャズ、サルサ、シャンソン、日本の民謡まで、ジャンルを超えた音楽を聴かせてくれる〈メルティングポット〉は、アコーデオン奏者の伊藤浩子さんが中心になっているカルテット。今年で7回目をむかえるParis-Banlieues Tangoフェスティバルの幕開けの演奏者として選ばれた。 タンゴ囃子という和太鼓との演奏、三味線も加わるサンバミックス。今までだれも聴いたことのないアコーデオンの曲。ルネサンス音楽からポップスに至るまで、幅広い音楽分野で活躍しているギター奏者のシルヴァン。〈モサリーニ〉というタンゴ・カルテットのメンバーだったコロンビア出身のコントラバス奏者マウリツィオ。パーカッションのクリスチャン。グループ名の「人種のるつぼ」どおりに、経歴も出身もさまざまな4人。 それぞれの曲を演奏する前に、曲の由来などを語ってくれるが、地下鉄で出会ったネズミの話、飛行機の中で作った曲、子供のころの思い出など、日常生活の中で感じたことを作曲した作品も多い。 11月28日まで行われているフェスティバル開催中の12日にもう一度コンサートが行われる。アコーデオン奏者、作曲家、そして語り手でもある伊藤浩子さんの世界を訪れてみると、楽しい音楽の旅ができそうだ。(尚) Kiron Espace : 10 rue la Vacquerie 11e 01. 4464. 1150 ●Le Pacifique Esprit |
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●Khaled “Ya-Rayi” (Az) レコード会社とのトラブルやら裁判沙汰で、”Kenza” 以来4年間の沈黙を守りボクらをイライラさせてくれたライ音楽のキング、ハレッドがようやく戻ってきた。最初の曲から、以前にも増して暖かく力強い声が、耳に届いてくる。タイトル曲の “Ya-Rayi” が素晴らしい。控えめなバックの演奏に乗って、いつもながらの哀愁のこもったハレッド節が流れていく。ヒットになりそう。と思っていると、次はズークのリズムも聞こえてくる、どこまでもごきげんなダンス曲 “Zine Zina”、体がひとりでに動き出し、サックスやトロンボーンのコーラスも腹に響いてくる。一昔前のモハメッド・エル・アンカの名曲 “El H’mam” も歌っているが、ハレッドの歌唱力に脱帽。カイロの弦楽オーケストラの優雅な響きに酔っていると、ライ音楽ならではのちょっと安っぽいシンセが入ってきたりするところもうれしい。名作”N’ssi n’ssi”にも迫る。 |
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●Rachid Taha “Tekitoi” (Barclay) 移民2世の歌手ラシッド・タハは、前々作 “Diwan” ではマグレブの名曲を新しくアレンジして楽しませてくれたが、この新作ではぐんぐんロック。タハの声は輝きに欠けるところがあるが、それを補う魂がある。ザ・クラッシュの『ロック・ザ・カスバ』も歌ってるぞ。ギターソロも秀逸。(真) |
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