2012年のオリンピック開催地に、パリ市が名乗りを上げている。開催地は来年7月に決まるが、気の早いパリ市はすでに一般市民向けにも「Paris 2012」と銘打ったキャンペーンを始めている。
主な会場予定地域は、北のサンドニと西のポルト・ド・サンクルー周辺だ。北の中心は、スタッド・ド・フランスと新設予定の「スーパードーム」。西ではローランギャロスとパルク・デ・プランスをメインに、テニス、ホッケー、バレーボールなどが行われる。オリンピックを受け入れる住民たちの反応はさまざま。
「多くの人が来れば、町がもっと有名になるから嬉しい」(サンドニ在住のペトロニオさんとオジュビイさん母子)「開催されれば国の援助も出る。町にとっていいことだと思う。RERやトラムウェイがあるから、大勢来ても交通は問題ない」(サンドニで働くアルマンさん)サンドニ中心街で衣料店を営むマキシムさんは、「スタッド・ド・フランスで大きな試合があっても、客は町の中心には来ないよ。商売にはまったく影響しないね」とオリンピックに無関心。スタッド・ド・フランスのそばでカフェを営むカメルさんは、「試合がある日は座る席がないほど混むんだ。大きな試合は大歓迎」。後片付けする人の意見はちょっと違う。地下鉄ポルト・ド・パリ駅の清掃員ミシェルさんは、「夜試合があると、翌々朝まで掃除しなきゃならない。普段は一人だが、こんな日は8人くらいで働くよ。紙一枚残してもダメだから大変だ。あと4カ月で定年だから、オリンピックの頃、私はいないがね」。サンドニ観光協会のクリストフさんは、「住民は新聞などでオリンピックが来るかもしれないという情報を得ている」と言う。
選手村は、パリ17区バティニョル地区の国鉄跡地にできる。バティニョル公園に子どもを連れてきたソフィーさんは、「工事で地域がきれいになるからよいと思う。治安面でも心配してないわ」。総じて好意的な北側の住民に対して、ブローニュの森に近い16区の住民は難しい。ポルト・ドートゥイユのカフェの経営者、リュシーさんは「このあたりの住民は人の出入りにすごく敏感。見本市があった会場だって、騒がしいと言って署名運動をして、見本市を止めさせたのよ。うちはカフェだから、オリンピックで人が来るのは歓迎だけどね」。オリンピックは夏の間だから、高級住宅街の住民はバカンスで早々に逃げてしまって、関係ないかも?「8月はパリにいることがあるから、困るんだけど」と言う、ラ・ミュエットのスクエアで本を読んでいたブリジットさんのような人もいるが…。(羽)
パリで開催されるなら…
2012年7月27日−8月12日
700-900万枚
販売チケット数
30-50万人
外国からの予想来訪者数
50ヘクタール
バティニョル地区の国鉄跡地に造られるオリンピック村
14 000席追加
ローランギャロス(現在37 080席)
27 000万ユーロ
オリンピック候補費(建設費見積り、関係者給与、宣伝費など)
700万人
2012-19年の全仏観光客予想増加数