663作の小説(フランス文学442)、572冊のノンフィクションが出版される2002年の新刊シーズン。この記録的な数の本の中から数冊をセレクション。
テーマは愛だ! まずは、日本でもお馴染みの二人の作家の新作。日本でも愛読者は多いだろうから、タイトルを日本語に訳すだけに紹介は留める。Philippe Sollersの『L’Etoile des amants(愛する者たちの星)』(Gallimard, 176p., 14,50€)。Jean-Philippe Toussaintの『Faire l’amour(メイク・ラヴ)』(Minuit, 180p., 13€)。 そして日本ではあまりまだ知られていないが、フランスでは話題を呼ぶ二人の女流作家。Christine Angotは『Pourquoi le Bresil ?』(Stock, 222p., 18,05€)で、フィクションではなく現実に彼女が生きている愛の生活を語る。アルジェリアとフランスの二つの文化を持つNina Bouraouiは、今回の第7作目の小説『La vie heureuse』(Stock, 340p., 19,80€)で、レズビアンの恋物語を描く。 そしてさらに他の「愛」…。 文学的愛。Sophie Chererの『L’Enjoliveur』(Stock, 252p., 18,25€)は、プロヴァンスと自然への愛の漂うGiono的世界を背景にした小説だ。 時代的愛。すでにゴンクール賞がささやかれているOlivier Rolinの『Tigre en papier』(Seuil, 270p., 18€)は、60-70年代フランスのマオ時代を生きた語り手がその青春時代への「愛」をパリ環状線を走る車の中から語る。 音楽愛。昨年は聖書の「新訳」にも参加した作家、Francois Bonによる『Rolling Stones, une biographie』(Fayard, 669p., 22€)は、まだまだ現役、ストーンズへの愛に満ち溢れる。 そして最後に、社会学的に見た愛。特異な社会学者Jean-Claude Kaufmannの『Premier matin: comment nait une histoire d’amour』(ED. Armand Colin, 255p., 20€)。 Eh ben, a nous l’Amour ! (樫) |