4月21日と5月5日に行われる大統領選キャンペーンも中盤戦に入り、ジョスパン候補はレユニオン島からもどる機内でシラク候補を「すり切れ、老いぼれ、疲れきった」と口走れば(3/19日に謝ったが)、シラク大統領は多種疑惑の取り調べをジョスパン風「ファシストのやり方」と反撃。政敵同士なりふりかまわずの激戦の余白で、悠然と選挙運動を進めるのはアルレット・ラギエさん(62)。74年以来、 5回目の立候補で、30年来大統領選風景に紅をそえる、トロツキスト系「労働者の闘い党Lutte ouvriere*」の女性候補者だ。 74年の得票率2.3%から出発し81年、88年と2%前後だったのが、95年大統領選では一挙に5.3%に伸びている。最近の統計*でラギエ投票予想率は8%を記録。共産党も緑の党も抜き、最近まで3位だったシュヴェヌマン候補も追い越し、ルペン国民戦線候補に迫る勢いだ。 テレビでラジオで流れてくるカマラード・アルレット定番の「トラヴァイヤー! トラヴァイユーズ!」は国民の耳に「またか」というよりむしろ同じレコードを聞くときの安心感をそそるレフレーンに近い。そして彼女の演説はかならず全員が拳を上げて「アンテ~ルナーショナ~ル…」の合唱で締め括られる。 クレディ・リヨネ銀行に40年近く勤務し2年前に定年退職したアルレットさんはLOの不変路線、プロレタリア独裁を掲げながらも、庶民(プティット・ジャン)の具体的な問題をとりあげ「真実を直截的に話す」と、学生や若年労働者層にも共鳴者を増やしている。そしてストライキと聞けばどこにでも飛んでいき支援の陣中見舞い。昨年ルクセンブルグ資本に買収され社員を解雇したブランド、チェルッティの前で3月15日、社員らと解雇反対を叫んだばかり。労働者たちに”セント・アルレット”と呼ばれるわけだ。 中道化を進める社会党への不満層と、97年以来左派連合政権に加わり、衰退しつづける共産党に身切りをつける極左層が、ラギエ候補にパンチと新鮮さを見い出しているのも確かだ。リベラシオン紙(02/3/12)によれば、97年総選挙での共産党票のうち15%は今回の大統領選でラギエ候補に流れ、また社会党支持者の中では以前、LOに投票してもいいと表明した人は1%でしかなかったのが最近は10%に急増。Ipsos統計局のレッシュ局長も、最近のラギエ現象を「ジョスパンへのビンタ」と分析。そしてルペン票の何パーセントかはLOに横滑りするだろう、とみている。 最近発行された著書「Mon communis-me」(Plon発行)で彼女は極力トロツキズムという言葉を避けており、LOは、衰退の一途をたどる共産党に代わりうる大衆的 “社会革命党” を目指しているよう。 が、セクト色が強く地下組織的集団ともいわれるLOがグローバリゼーションの荒波に抗して、プロレタリア独裁路線でどこまでアルレット支持者を引っ張っていけるか、これからの進展が興味深い。(君) *第4インター系国際共産主義者連盟UCIの分派。 |
第1回投票予想率ベストテン 6.5% マメール(緑の党) 5% ユー(PC) 4% バイルー(UDF) 4% マドラン(DL) 3.5% サンジョス(狩猟派) 2.5% パスクワ(RPF) 第2回得票予想率 50% ジョスパン候補 50% シラク候補 *Liberation-CSA-La Depeche du Midi が3/20 -21に調査。 (Libération- : 02/3/25) |