フランスでは大統領選挙が近づいてくると、候補者に関する本が書店の店頭に溢れる。シラク大統領のお抱え運転手が書いた『彼との25年間』とか大統領夫人を取り上げた『ベルナデット・シラク』、20年前にミッテランに破れたがまだカムバックにこだわる『ジスカール・デスタン』…。どれもあまり批判的ではなく、候補者それぞれと著者の間の馴れ合い関係がいささか気になるところだ。 シラク大統領との一騎打ちが予想されているジョスパン首相についての著書も 2冊。Serge Raffy著の『Jospin, secrêts de familles」(Fayard社発行)とClaude Askolovitch著の『Lionel』。これまで、あまり知られていなかったジョスパン首相の実像は、と一読。前者は、首相とミッテラン、あるいは平和主義者だった父ロベールの影響などを詳しく分析。後者で面白いのは、「トロツキストとしての若きジョスパン」像が浮かび上がってくることだ。(真) |
Grasset 社発行 129F “L’ENA lui a enseigné le réalisme. Le trotskisme lui a appris la lecture idéologique et la brutalité des rapports de force. Mitterand lui a transmis la subtilité des affrontements politiques. Tout lui profite, même ce qu’il ne dit pas” 「国立行政学院でジョスパンは現実主義を教わりました。トロツキーの思想からはイデオロギーに基づく考え方や力関係の過酷さを教わりました。ミッテランからは政治的な対立がふくんでいる微妙さを教わりました。口にこそ出しませんが、すべてが彼の役に立っているのです」 |