やたらと生誕何周年、没後何周年と、作家、思想家に限らず、著名人、そして歴史的出来事を、書物を含めたあらゆるメディアが取り上げるフランス。昨年、2000年以来、過去を振り返る書物が多く出版され、され続けている。2000-2001年が大きな区切りであるのは明らかであるが、これは、出版業界の現象、表面的風潮、「タイムリーな話題」にとどまるものではないだろう。
今回の特集では、こうしたテーマに属するであろう数十冊に及ぶ書物の中から、5冊に絞って、現在のフランスが如何に、20世紀を見ているか、思考しているかをかいまみてみよう。
その5冊とは、ヒューマニズム的視野をもつトドロフの『Mémoire du mal, tentation du bien』、哲学的視野から見たリクールの『La mémoire, l’histoire, l’oubli』、文学からのアプローチを試みるミッシェル・レモンの『Eloge et critique de la modernité』、知的かつ総括的視野をもつ雑誌『Le Débat』、そして多くの作家からの回答をまとめた文学誌『『La Quinzaine littéraire』である。 企画・構成:樫尾 岳