コンチャロフスキー”Le premier maitre” ヴェールに包まれた旧ソ連時代の壮大な映画史を、120本の傑作群で振り返る特集 “BACK IN THE URSS”。豪華なフルコースディナーを前に「一体どこから手をつければ…」と悩んでしまう方のために、作品選定の中心的人物ローラン・エベール氏からアドバイスを頂いた。 「シャフナザーロフのコメディ・ミュージカル『Nous sommes du jazz』や、クリモフの心理コメディ『Les aventures d’un dentiste』などは、どなたでも楽しめる作品です。ソビエト映画が、想像以上に多様なスタイルを持っていたことに気がつくでしょう」 ソ連崩壊以前は、国内で上映される映画の実に90%が自国産。そのため外国映画に頼らず、コメディからウエスタン風作品まで、多ジャンルにわたる作品を製作する必要があったのだ。今回はその中から、コンチャロフスキー作品のように、”大衆映画” でありながら “作家映画” でもある作品が、数多く選ばれている。 「よりオリジナルな映画体験を求める方には、無声映画であるマヤコフスキーの『La demoiselle et le voyou』やプロタザノフの『La dame de Pique』、またロシア初のヌーヴェル・ヴァーグと称される女性監督モラトヴァの『Longs adieux』がお勧め。その斬新さに驚かれるのでは?」 もちろん世界的巨匠であるエイゼンシュテインやタルコフスキー、日本でもカルトファンを持つパラジャーノフ、バルネット、ヴェルトフ (←必見) 作品も登場。中にはドブジェンコの『大地』のように、映画史的に重要であってもスクリーンで観ることが極めて難しい作品も多く、この機会を逃さず観ておきたい。 エベール氏の言葉を借りれば、まさに目がくらむ “bijou (宝石)” の数々。ソ連崩壊から10年…、今だからこそ初めて可能になった映画の祭典なのだ。(瑞) *Cinema des Cineastes : 7 av.de Clichy 17e 01.5342.4020/Studio des Ursulines : 10 rue des Ursulines 5e 01.4326. 9708 (上記の2館で9月5日まで開催) |
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