1668年、モリエールが晩年に書いた喜劇『守銭奴』の主人公、金持ちのアルゴンは猛烈な吝嗇家で、他人は自分から金をかすめとろうとする泥棒で、身内にだって油断はできないから、娘も息子も自分の財産を増やすための道具だと考えている。 自分の執事と恋仲にある実の娘を年寄りの資産家に嫁がせようと企んだり、息子が思いを寄せる女性を、財力にものをいわせて自分の妻にしようとしたり、おまけに自分の婚礼のご馳走には最大の節約をしようとする…実に嫌な奴なのである。 ただ、そんなけちな人間、アルパゴンにばかり都合良く物事が運ぶわけはないのが、世の中というもの…。 ●THEATRE MAGAZINE ●RENAUD – BARRAULT 常に前衛でいようとするバローの活動にいちばん寛容で同時にいちばん厳しかったのがルノーだった。人妻だったルノーと恋におちたバローは、サルトルなど友人たちの反対にもかかわらずルノーが所属するコメディー・フランセーズの専属となり新風を吹き込むが、大戦後に生じた劇場幹部との意見の不一致によりふたりは揃って脱退し、独自の劇団を築く。このあとは流浪の民のごとく劇場を渡り歩くが、常に新しい試みに意欲的にとりくみながら、ふたりとも1994年にこの世を去った。 会場の空間を埋め尽くす展示物のひとつひとつは、夫婦という絆を超え、フランスの演劇界に半世紀近く影響を与えた彼らの二人三脚の冒険を語り、華やかな舞台裏にはさまざまな葛藤があることも教えてくれる。6/20日まで。(海) 問い合わせ : 01.5379.5959. |
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