● THE BIG LEBOWSKI
“Fargo” に続くコーエン兄弟の新作は肩のこらない極上の娯楽作。前作でも、妊娠中の女刑事が、まわりとどこかズレていて不思議な味があった。この作品の主人公ルボウスキー君 も、失業の身で、朝から晩までマリファナを喫い、暇があると友人とボーリングを楽しむという、湾岸戦争時代のアメリカにいてはいけないような、ズレ人間。そんな彼が、ひょんなことから誘拐事件に巻き込まれてしまう。繊細でいながら大胆に演出されたズレのおかしさに、館内は爆笑が絶えない。ジェフ・ブリッジス伸び伸びとこの怠け者を演じているし、イエスと名乗るボーリング・フリークを演じるジョン・タトゥーロに、我が目を疑った。アルトマンの名作『ロング・グッドバイ』の影を感じたのは僕だけではないだろう。 (真)