5月1日はフェット・デュ・ミュゲ(スズラン祭り)。この日のスズランは、幸せをもたらすと言われ、フランスでは、家族や恋人に、スズランを贈る習慣がある。
この花を春の訪れ、幸福の象徴として贈る文化は、ケルト民族が起源と言われている。16世紀、国王シャルル9世が、毎年5月1日に宮廷の女性にスズランを贈り、この習慣が広く知られるようになったとのこと。19世紀には、パリのオート・クチュールのメゾンが、この日に顧客や従業員にスズランを贈っていたそうだ。
今も市民の間にこの文化は根付いており、この日は、庭や森で摘んだスズランを並べた、たくさんの「一日花屋」が、路上に店を出す。市町村ごとに一定の条件があるが、この日だけは営業許可なしでスズランを売ることができるからだ。売り子は、子供からお年寄り、家庭の主婦など、年齢も素顔もさまざま。価格は一株1~2ユーロ程度。
スズラン栽培が盛んなナント近郊で、3世代前からこの花を栽培しているリシャールさん兄弟は、4月21日から収穫を開始。「今年の開花はちょうど5月1日前後になりそうだ」と喜んでいた。当日まで、全国への出荷に追われる。(重)