ルペン父娘ゲンカから「父殺し」、内部分裂に?

4月15日〜21日付 L'EXPRESS誌 「父殺しの内情」
4月15日〜21日付 L’EXPRESS誌 「父殺しの内情」

 国民戦線党FNのマリーヌ・ルペン党首は2011年にジャン=マリー・ルペンの後を継ぎ、選挙ごとに勢いを増し、先の県会議員選挙でも全国1議席から62議席へと躍進。父親が1972 年に創立したFNのイメージを「脱悪魔化」するのがマリーヌの本命。以来、農業従事者・労働者・失業者など庶民層の支持者を集め、彼らを脅かす移民も失業増加も金融界と欧州連合のせいと、ユーロ圏からの離脱まで唱える。さらに仏国内で生まれた外国人にも国籍を与える生地主義の廃止を主張し、外国人排斥路線を強める。
 ところが86歳の父親が老いをいいことに 最近、本音を吐きメディアが騒ぐ。極右系新聞リヴァロル (4/9付)のインタビューで「僕はペタン元帥(ナチスに降伏した元帥)を裏切者とは思わない。国民は彼に対し厳しすぎた」と回想、「ヴァルス首相は30年前にスペインからフランスに帰化したが、私の先祖は千年前からフランス人だ」。4月2日、RMCスポーツ放送でまたまた 「アウシュビッツのガス室は第2次大戦の”些細(ささい)事”」と彼の有名な暴言を再発。1999年に放ったこの暴言に対し彼は80万ユーロの罰金刑を受けた。05年には「ナチス占領軍はさほど非人間的ではなかった」と言ったものだからマリーヌが強く批判した。父親の「俗悪な挑発的暴言は政治的自殺行為」と正面から衝突し、彼の懲戒処分を考え、12月の地域圏選挙でのプロヴァンス=アルプ=コートダジュール地域圏PACAのFN候補リストから彼を下ろすと表明。
 最初の妻が離婚後、彼に預けた娘3人のうちマリーヌは末娘。性格が一番父に似て負けず嫌い、専制的、大言壮語するタイプ。 欧州議員の父娘に加え孫マリオン・マレシャル=ルペン(25歳)は南仏ヴォークルーズ県出代議士(FN2人)。目に入れても痛くないマリオンを政治家に育て上げたのはおじいちゃんだ。党内の創立者締め出しムードの中で彼は4月13日、PACAでの立候補を諦めると表明、代わりにマリオンを推す。娘との対立がこたえたのか父親は心不全で17日から4日間入院。同日、執行部は創立者の処分を保留にし、マリオンのPACA筆頭候補を決定。が、FN元祖ルペンをいら立たせているのは、11年にFN党員となった副党首フロリアン・フィリポ。副党首の戦略は、極右のイメージを脱し、御大を引退させること。創立者から見れば、ルペン家に入り込んだ婿に娘が感化されたのと同じ。ルペンの忠僕ゴルニッシュは同圏選挙に出馬予定だったがルペン家の結束に負け引き下がる。まさに、父・娘・孫娘の権力闘争も絡むFN版家族愛憎劇だ。 (君)