米国での話だが、アマゾン社が仏出版大手アシェット社にけんかを売っている。今年1月に始まった両社の契約更新交渉で、本の価格を下げるためのマージン低下について、アシェットが態度を明らかにしないのに業を煮やしたアマゾンは、5月末からアシェットの本の予約を受け付けず、在庫をわざと減らして出荷に2~3週間もかけるという措置をとっている。さらに7月8日には、契約が成立するまで電子書籍については、売り上げを100%作家に渡すというメールを各作家に送り、作家を自社側に取り込もうと画策。米作家連盟は「自殺行為」とアマゾンを非難し、作家を巻き込まずに両社で交渉すべきとした。
4年間で8倍にも膨らんだ米国電子書籍市場の60%を占めるアマゾンは、出版社を通さずに、電子書籍を直接販売する契約を6500人の作家と交わしており、アシェットを敵に回すことは大した問題ではない。だが、アシェット側は米出版4社を傘下に置き米出版界では第4位とはいえ、アマゾンで売れなくなるのは痛手だ。価格低下で消費者の利益を守ると公言するアマゾンが、力で押し切るのか、今後の行方が注目される。(し)