フランス各紙は5月15日、ブイググループが子会社ブイグ・テレコムを同業のオランジュに売り込み中と報道した。ブイグは4月にSFR買収でニュメリカーブルに敗れた後、フリーにブイグ・テレコムを売り込んだが、期待していた80億ユーロを大幅に下回るフリーの50億ユーロのオファーに満足できず、断念。今度はオランジュに接近したというわけだ。
ここまで売り込みに躍起になるにはわけがある。創立以来、業績が順調だったブイグ・テレコムは、2012年1月にフリーの携帯電話市場参入で価格競争が激化したことから急激に業績が悪化。2011年の3億3100万ユーロの黒字から12年は1400万ユーロの赤字に転落した。第4世代移動通信システム(4G)への莫大な投資にもかかわらず、加入者数は減少して1100万人にとどまっている。このままでは、2012年の596人の希望退職に続いて、1500~2000の雇用削減が必至といわれる。一方、SFRを手にしたニュメリカーブルは16日、仮想移動体通信ヴァージン・モビルを3億2500万ユーロで買収すると発表。競争が激化する携帯電話業界はさらに再編が進みそうだ。(し)