法定最低賃金(SMIC)より低いSMICの設置問題が再燃している。きっかけを作ったのは世界貿易機関(WTO)元事務局長で社会党のパスカル・ラミ氏。同氏は4月2日のTVインタビューで、失業率を下げるためにはSMICより低い賃金を可能にするなどの柔軟性が必要と発言。15日にこの発言に対する意見を求められたフランス経営者団体MEDEFのガタズ会長が、若者の就職を促進するために一時的に低いSMIC導入を検討することを提案したものだから、議論に火がついた。
労組は反対を叫び、ヴァルス首相も低いSMIC導入の意図はないと即座に否定した。ところが同日、SMICは雇用促進の障害になるという持論を持つ
3人の著名な経済学者が大統領府に招かれたことから、政府が若者SMICを検討するのではないかという疑問が浮上。20年前にバラデュール政権が若者SMICの導入を目論んで失敗した経緯があり、社会党政権が同じ轍(てつ)を踏むとは考えられない。しかし、欧州第4位(税込みで月1445ユーロ)で、一般の給与より上昇率の高いSMICの制度を政府が何らかの方法で検討し直す可能性は皆無ではない。(し)