フランスでの運転歴14年、安全運転第一の友人、彩さんが、接触事故を起こしてしまった。なんでもスーパーの駐車場で後方をしっかりと確認後ゆっくりバックしていたら、ガン!とやってしまったというのだ。「誰もいなかったはずなのに!?」
接触直後に慌てて降りて確認すると、相手の側面に自車のテールがぶつかっていた。「ちゃんと見たのに。あなたはどこから進んできたのですか?」
と問うと、相手は「(車線を挟んだ)真正面に停まっていたのよ! バックであなたより先に車線に出て、これから前進しようとしていたの!」と戦闘モード。接触状態から自分に非がありそうなため、その線で事故証明を書きはしたが、どうにも腑(ふ)に落ちない。しっかり確認したはずなのに…?
当初語気を荒げていた相手は、彩さんの沈着ぶり、というかむしろ消沈した様子を見て態度を軟化。にこやかに握手をして「 Bonne journée !」と別れたらしい。
駐車場の事故は、双方が後部同士を接触した場合にのみ両成敗だが、今回は自車の後部が相手の側面に接触しているため、彼女の100%過失で保険会社へ。結果、一部負担金250ユーロの支払いと、6カ月以内に再び事故を起こした際の保険料値上げの警告を受けた。
ところが、この話を周りのフランス人に話したら、「してやられたね。相手はゆっくりバックする君の先を行こうとしたんだ。事故証明に『自分の進行方向に、相手が急スピードでバックしてきた』と書けば50:50だったかも」と言われ、彩さんはがく然としたという。つまりは最後までゴネていればよかったということだが、「それには度胸が足りないわ、フランス人は強すぎる」と彩さん。
駐車スペースから出る時にどちらかが前進なら回避できた今回の事故。フランスでは駐車の際に頭から突っ込むのが普通だが「バックで駐車して前進で出る」ことを奨励したい。(和)