「私の仕事の定義は、その空間が晴れやかに構成されること。クライアントの特性が実現される空間が自然光に満ち、流行に左右されず、偶然性から生まれることがないこと」と語るのは建築家、インテリアデザイナーのギヨーム・ルクレール。
モンマルトル界隈は、BOBO人種が増加し、新しいカフェ、ブラッスリーが軒並み誕生している。これといって特徴のなかったブラッスリーの主人が引退後、3カ月にわたる大工事を終えオープンした、大きなガラス張りの角店〈ル・サルマン・ド・モンマルトル〉。店内に入った時に、確かに、空間のハーモニーを感じることができる
地上と地下の総面積は170m2、幅の広い錫(すず)製のカウンター、ゆったりと座れる70席、オーク材、ブロンズ、石などを使用した店内は、伝統的でも現代的でもない、時間を超えたスペース。70年代のジュークボックス、メトロの木のベンチなどが置かれている。
新オーナーのアセム・セラムは「私と妻が古物商で集めた家具やオブジェ、ギヨームが自ら鉄筋コンクリートの鉄筋を溶接して作った瓶を置く棚など、互いの経験を活かしたコラボレーション空間です」と満足げ。
地下にはカラフルな色合いのタイルの広いトイレ、整理された大型冷蔵室、最新システムの冷却装置室、カーブ、オフィスなど、地上の機械システムが全て地下に収まっている。
デザインの先走りで機能性のないホテルやカフェが多いなか、デザインと機能が融合した心地よい空間だ。(苗)
Le Sarment de Montmartre
Adresse : 62 rue du Mont Cenis, 75018 ParisTEL : 01.4258.6191