◎浅見子緒(ロンドン4年、アンジェ1年、ホーチミン3年)
浅見さんは、父親の仕事の関係で8歳からイギリスに住んでいた頃、家族旅行で何度かパリに行くことがあった。まだ小さかった浅見さんには、パリの風景がとても華やかに見 えた。パン屋さんにはいろいろなお菓子も並んでいて、きれいだった。歴史的な建造物が集まっている街並も美しく感じた。フランスの女性の装いや、個性を重んじる生き方も素敵だと思った。
11歳の時、ロンドンの中学校ではフランス語が必修科目だった。フランス語の音を美しいと感じたこと、そして成績もよかったことで、フランス語が好きになった。しかし半年後、父親の仕事の都合で日本に戻ることになる。
日本でもフランス語を続けたかったので、教科としてのフランス語がある中学・高校に進んだ。将来はフランス語を使った仕事、なかでもフランス語の教師になりたいと思いはじめた。大学もフランス語学科に入学、3年生のときに、交換留学の制度を利用してアンジェに一年留学する。ホームステイだったおかげで、フランス人の生活を目の当たりにできた。食へのこだわりや、流行などに左右されないライフスタイル、ものを大事にする生活、そして女性のりんとした生き方に心を打たれた。その反面、長年フランス語をやってきたのに家族の会話についていけず、フランス語に自信を失った時期でもあった。それでも留学期間の最後までフランス語を勉強しようと、最後の一ヵ月は、オーディオビジュアル設備の評判がよかったロワイヤンの語学学校に通った。
日本に戻ると教育実習があり、授業に集中する生徒の熱心な姿に心を打たれた。そして、いつか多くの人のフランス語学習の手助けをしたい、という想いが強まった。
就職活動が始まり、フランスの食品輸入の会社から内定をもらったが、フランスに行く機会がないとわかり、断念。フランスと関係のある職を探していたとき、卒業前に友人に誘われてベトナムに旅行に行った。生活のいたるところにフランスの文化が浸透しているハノイに惹かれた。「そこで生活するのも面白い、体力のある今しかできないと思いました」
2003年、旅行から戻って見つけた旅行会社の求人にすぐに応募、採用された。フランス語を使う機会はほとんどなかったが、東西文化の融合する街で学ぶことは多く、現地語や生活習慣に浸透するフランスを垣間見るのも楽しかった。しかし、日本での就労経験がないことに対する不安や、フランス語への思いが募った。
ベトナムに移って3年、「一度日本で働いて、それでもベトナムがよかったらまた戻ってこよう」と帰国。2006年に日本に戻ってからはフランス語を使う仕事からはぶれずに、最初は翻訳の手伝いやフランスと関係がある会社で派遣社員として働いた。ECC外語学院、個人主宰のレッスンの他、現在は主に横浜のエフィ・フランス語教室で講師として働く。
7月には初心者向けの会話集も出版した。現在、2冊目となる参考書を執筆中だ。今はフランスに行く時間が取れないが、生徒さんがフランスに行ってきて、「帰ったときの満足感、フランス語を通して深い経験が得られたという話を聞けるのが嬉しい」と、今の仕事に喜びを感じている。(樫)
『使える・話せる・フランス語表現』浅見子緒、語研、2013年7月、1470円(税込)。
Emerveillée par la France ASAMI Shio (4 ans à Londres, 1 an à Angers et 3 ans à Hô-Chi-Minh-Ville)
À l’âge de 11 ans, Shio suivait des cours de français dans un collège à Londres où elle habitait avec ses parents depuis 4 ans. Sa famille se rendait, de temps en temps, à Paris où elle a été séduite par les vitrines des boulangeries, la concentration des monuments historiques mais aussi par les Françaises.
A son retour au Japon, elle a voulu poursuivre ses études de français au collège, puis au lycée, et finalement à l’Université. En troisième année universitaire, elle est partie à Angers pour perfectionner son français pendant un an. Hébergée dans une famille française, elle a pu découvrir la vie des Français dans leur quotidien.
Juste avant sa sortie de l’Université, l’occasion lui a été donnée de voyager au Viêt Nam qui lui a beaucoup plu, au point de vouloir s’y installer et d’y séjourner trois ans durant. Ce fut pour elle un séjour à la fois très agréable et stimulant. Le temps passant, elle a commencé à réfléchir à son avenir et c’est son attrait pour la langue française qui l’a poussée à rentrer au Japon en 2006. Depuis, elle a travaillé comme traductrice, en intérim, et actuellement elle est enseignante dans une école de langue à Yokohama où son grand plaisir est d’aider les gens à apprendre le français.
小学生の時に作った自作のパリガイド。