世の中には命を削って辛そうに映画を撮る人もいれば、呼吸するくらいの気軽さで快作を連打できる人もいる。スティーブン・ソダーバーグはおそらく後者。どちらが良いということではなく、彼のような映画の才人もいるというだけだ。本作も映画ファンなら必見の快作である。ソダーバーグは嘘か真か、本作の後は監督休業宣言をしているので、なおさら見逃すことなかれ。
実在の米人ピアニスト«リベラーチェ»&若き愛人のゲイカップル愛憎劇。とはいえドロドロしたものにはならず、観賞後は爽風さえ吹いてくるようだ。カンヌ映画祭で主演男優賞が有望視されたマイケル・ダグラスの濃厚で魅力的な入魂のリベラーチェぶりが感動的。(瑞)