5月3日、安倍晋三首相とトルコのエルドアン首相が原子力協定を締結し、トルコで2番目の原発プラント建設のための仏アレヴァ=三菱重工連合とトルコの交渉が本格的にスタートする。この計画は黒海沿岸のシノップに、両社が共同開発した第3世代中型原子炉「Atmea1」を初めて使用したプラント(5000メガワット級)を建設するもので、2017年から建設を始め、仏GDFスエズと提携したトルコの電力会社が2023年から操業する予定だ。
この計画が順調に進めば、2011年のアルメニア人虐殺の否定を禁じる法律をフランス国会が採択して以来、関係が冷え切っているトルコへの仏原子力産業の進出に風穴を開けることが可能になるほか、福島の原発事故以来、世界中で停滞していた原子炉建設にはずみがつき、仏原子力産業の外国での入札チャンスも増えるだろう。一方、日本側では、福島原発事故以来、国内で原発反対運動が高まるなか、海外への技術輸出によって原子力産業を盛り返そうという安倍政権の取り組みが奏功したということになる。ただ、地震国トルコに日本が原発輸出するのはどうなのだろうか。(し)