昨年の12月4日に、ニュースサイトのメディアパールに外国に隠し口座を持っていることを報道されて以来、それが真実でないと言い張ってきた前予算相ジェローム・カユザックだが、4月2日、その事実を認めた。そのうそ語録を追ってみよう。
「私はメディアパールのサイトで言われていることを断固として否定する。外国に隠し口座を持ったことは一度もない。現在も過去も」
(メディアパールの発表の翌日、12月5日の発言)。
「3分40秒の録音のうち、4、5秒は私の声であるように思われるかもしれないが、それが私でないこともありえる」
(12月5日メディアパールは、スイスに隠し口座を持っていることをほのめかしているカユザックの声とおぼしき録音があることを発表する。それに対するカユザックの12月19日の発言)。
「辞任したからといって、私が無罪であることに変わりはないし、私に対して投げつけられた糾弾が中傷であることにかわりはない」
(3月15日、カユザックの隠し口座疑惑を取り調べていた検察局は、その録音の声がカユザックであることを認め、本格的捜査に切り替えた。これを受けて大統領府は、3月19日、カユザック予算相の辞任を発表。その直後の発言)
「きょう(4月2日)、二人の判事と会った時に、60万ユーロにのぼる(隠し)口座が存在していたことを認めた」
(4月2日、自身のブログ上で)。
この自白で国民の政治不信がよりいっそうつのるのではと、政界は混乱。さらにカユザック前予算相は、12月以来、国民議会でうそを突き通していたのにもかかわらず、国民議会議員としてカムバックしたい意向を示したから、社会党幹部は、それを諦めさせるのにてんやわんや。
わが身にも隠し口座の疑いがかかることをおそれてか、フランソワ・フィヨン前首相は、テレビでのインタビューで早々と自分の財産を公表した。「私は、国民議会議員に選ばれるたびに、自分の財産を明らかにしてきました。20年前に44万ユーロの家を買いました(現価格約65万ユーロ)。あとは10万ユーロ以下の貯金と、どちらも10年以上経った車が2台だけです」。それにならってか、デュフロ住宅相やマリ=アルレット身障者担当相なども自分の財産を公表。例えばデュフロ住宅相は、16万8千ユーロの家を所有し、貯金は10万ユーロ、車は1999年購買の1600ユーロに値するトゥインゴ、そして2000ユーロ相当の宝石とか。(真)