「フィンドゥス」社製ラザニアの馬肉使用事件によって食肉の品質や安全性の問題がにわかに浮上し、議論が活発になっている。狂牛病騒ぎ以来、食肉のトレーサビリティ制度が整備され、食卓にのる肉の種類や産地は明らかにされているはずだった。フランスでは、農業省の食品安全監視員が酪農家、畜殺場、食肉加工場、商店などに立ち入り検査を行う一方、経済省消費競争不正抑止局(DGCCRF)が表示や原材料検査を行っている。しかし、こうした当局の検査だけではとうてい全部をカバーすることはできないので、ほとんどは企業の自主検査に委ねられているのが現状だ。
今回の事件で、調理済み食品に使われる肉の産地表示は義務付けられていないことを消費者は再確認した。ルーマニア産馬肉が食肉加工業者や仲介業者を流通する間にフランス産牛肉に化けたことも判明した。調理済み食品はもとより、スーパーで販売されているハンバーグ用ひき肉にも、骨や腱など肉でない部分や牛肉でない他の家畜の肉が混ぜてある可能性がある事実も浮上した。食品の安全は消費者自身が守らなければならないということか。(し)