「カトリーヌとジャン = ポールの婚礼へようこそ!」というシチュエーションの中でこの舞台は幕を開ける。私たち観客は二人の近親、遠い親戚、友人や職場の同僚、という設定だ。招待客を退屈させないように、そう若くもない新郎新婦が準備した素人臭い出し物は、笑いというよりどちらかといえば苦笑を誘い、おやおや、この舞台は…と私たちを不安にさせたと思ったら、パチン!と何かがはじけ、堰(せき)を切ったようにお終いまで会場中が笑いの渦に包まれる。
この舞台を書き、新郎新婦役を演ずるカトリーヌ・ドルーテとジャン = ポール・デルヴォーは、フランス南西部アジャンの同じ演劇カンパニーで修業をした仲だという。Mr.ビーンに少し雰囲気の似たデルヴォーは、百面相のように表情が豊かでサービス精神満々、舞台を忙しく動き回りながら汗を流している。反対に女優アルレッティに少し雰囲気の似たドルーテは、動きも少なくちょっと冷めた女風。ちまたでもよくみかける「正反対」の男と女で構成されるカップルが、しっかりしたできでき上がっている。
二人が共有する思い出や日常の出来事が小さなコントという形で、歌や踊りの合間に披露される。日本の漫才コンビのようにボケとツッコミ、緩急のとりかたが上手い。最高だったのはそれぞれが披露するソロの歌と最後の「有名人カップル」のメロディー。ロミオとジュリエット、カジモドとエスメラルダ、ゲンズブールとバーキン…次々と登場する「スター」たちに二人が変身する様はあまりにも可笑しくて、ひきつるような笑いがあちこちで聞こえる。こんな楽しい婚礼ならば、何度でも招かれたいね、と一緒に行った友人と腹の皮をよじった1時間半。
9/29迄。(海)
Alhambra : 21 rue Yves Toudic 10e 01.4020.4025. 火〜土19h。22€-28€。
www.alhambra-paris.com
www.alhambra-paris.com
www.follesnoces.com