連続射殺犯モハメッド・メラに関し、メディアや右派系の評論家は、メラは「d’origine algérienne(アルジェリア出身)」と繰り返すことが多かった。これに対し、左派系の評論家やアルジェリアの各メディアは、アルジェリア人を他の国籍保持者と差別するものだと強く抗議。メラは、上の記事のとおり、トゥールーズで生まれた生粋のフランス人。アルジェリア出身の両親から生まれたということと、彼が犯した犯罪とはまったく何の関係もない。今でもアルジェリアからフランスに働きにくる人は多いが、「マグレブ系移民は犯罪の原因であるからその数を制限すべき」というイメージをフランス人に植え付けようとする暗黙の政治的計算が働いているのに違いない。「d’origine algérienne」というような表現が許されるなら、サルコジ大統領は「d’origine hongroise(ハンガリー出身)」ということになるのだが。
そのサルコジ大統領、4月14日ラジオでのインタビューで、メラに射殺された兵士に関し、「(射殺された)私たちの兵士のうちの二人は、何と言うか、イスラーム教徒だった。少なくとも外見は。というのも一人はカトリック教徒だが、少なくとも外見は…」と発言。これに対し共産党は「あの発言は、計り知れないほど愚かな発言であるだけでなく、明確に人種差別である。(…)共和国の大統領ともあろう者が、もし意図的でなかったとしたら、どうやって信仰と皮膚の色を混同できるのだろうか?」(真)