電力・ガス会社と消費者の係争の調停にあたる「エネルギー調停者」が3月20日に公表した報告書によると、電気・ガス料金が払えない家庭が急増している。2010年は全調停申請7066件に対して10%の約700件が料金を支払えない消費者の訴えだったのが、2011年は8044件の15%、1200件と70%も増えた。国立統計経済研究所(INSEE)によると、家計の10%以上を光熱費に費やす380万世帯(800万人)が「エネルギー貧困者」と定義されている。単身世帯で月収648ユーロ、カップルで971ユーロ以下の世帯は電気・ガス料金の「福祉料金」を申請できるが、電気料金で年95ユーロ、ガス暖房の4人家族でも年142ユーロが割り引かれるにすぎない。しかも、その財源は仏電気公社(EDF)の電気料金に含まれる電気公共サービス貢献金。つまり消費者が払っているのだ。この2年間で電気は8%、ガスは25%も値上がりした上にガソリンも天井知らずの高騰。エネルギー貧困者救済の論議がもっとあってもいいのではないか。(し)