大統領選戦の渦の中で。

サルコジ候補
サルコジ候補
 オランド社会党候補は、当選したら年収100万ユーロ以上の場合、その超過分に75%の所得税を課すという。07年就任以来「金持ちの大統領」ととられてきたサルコジ候補は、ジョニー・アリデー(すでにスイスに移住)をはじめ富豪層をフランスにつなぎとめるために彼らへの所得税を40%から41% ! に上げたと自慢顔。フランスには年収150万ユーロ以上の高所得者が約1千人いるというから、サッカー選手やスターたちは、オランドの公約が実現すれば、さっさと隣国に移住するはず。大金持ちが半減しても国民の61%、左派市民の88%はこの課税率に賛成しているからオランド候補は自信満々。
 そこでサルコジ候補はオランド候補を一蹴する。3月1日バイヨンヌでの演説で「社会党候補が大統領になると、公官庁から公共機関まで一斉粛清(スターリン時代を思い起こさせる)により首がすえ替えられる」と公務員は背筋が寒くなるような脅し発言。社会党候補が公費の15%削減を公約すれば「タルチュフ(ぺてん師)! 」とモリエール言葉まで借りてこきおろす。サルコジ候補は興奮すると暴言・豪語に歯止めがきかなくなるよう。さらに3 月11日ヴィルパント大集会では、シェンゲン協定国間の不法移民の監視態勢が12カ月以内に強化されなければ同協定から離脱すると放ち、マリーヌ・ルペン国民戦線党首の脱ユーロ説の上をいく。大言壮語するサルコジ候補はついに3 月12日付IFOP調査で第1回投票予想率28.5%を得、社会党候補(27%)を逆転 ! 後者はこの選挙を「アンチサルコジ」国民投票と名打って政権交代のための有効票を !  と市民に訴える。
 サルコジ候補のポピュリスト的(民衆迎合主義)姿勢が強まる中で、ルペンFN党首も負けてはいない。3月8日国際女性デーでは、中絶費用の返済廃止という現代女性にショックな構想を明言。さらに子供2人目から産休手当(最低給与の80%)を3年間給付する(但し片親が仏国籍者)という、母親カムバックホーム論を提唱。そしてモハメッド・メラによるモントーバン、トゥールーズでの連続射殺事件(兵士3人、教師1人、子供3人)にひっかけて死刑復活を唱える。
 一方、共産党と極左とで昨年結成された左翼戦線のメランション党首(08年社会党離党)は、第1回投票予想率5〜7%から一挙に14%に飛躍。失業、住居問題、購買力低下に苦しむ庶民にとってはサルコジもオランドも大差なく、将来の見込みない絶望状態の中で、エネルギッシュな体制批判者、労働者・貧困者の味方としてメランション候補の支持者が急増。欧州エコロジー・緑の党エヴァ・ジョリ候補の低迷(投票予想率3%→2%)をいいことに原発をめぐる国民投票を公約し、エコロジー・左派にくい込みつつある。パリ・コミューン(1871年3 月26日民衆蜂起)にちなんで、3 月18日バスチーユ広場に12万人(主催者発表)を動員し「市民蜂起」を呼びかけた。
 出馬するのに必要な代議員500人以上の推薦が危ぶまれたルペンFN党首も含め正式候補者10人の激しい終盤戦がくり広げられている。国民はその渦にもまれながら、少なくとも4 月22日の第1回投票では左右2極体制を崩し、極右・右派・中道・左派・極左・エコロジー派とそれぞれの指向を候補者に突きつけたいところ。(君)
オランド候補

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