苦手な季節がやってきた。ノエル(クリスマス)だ。食いしん坊なのでノエルのディナーをあれこれ考えるのは楽しいのだが、プレゼント選びは苦痛に近い。幸いにも夫と子供以外にフランスには家族や親戚はいないので楽なほうだとは思うが、限られた予算内で相手の喜びそうなものを探すのは苦労する。しかも、この時期の狂騒的な街での買物は疲労困ぱいする。
それでも、子供が小学生くらいまでは何を買ってやろうかと考える楽しみがあったが、大きくなるにつれて、子供が欲しいものと、こちらの懐具合とのし烈な交渉事に発展していき、選ぶ楽しみを失った。その結果、昨年はついにプレゼントギブアップ宣言をし、ノエルは小さなプレゼントにし、必要なものは必要な時にその都度買うということにした。
今どきの中高生のプレゼントの嗜好(しこう)ははっきりしている。高校生の長男いわく、「ゲーム機、ゲームソフト、ケータイ、iPod、iPad、コンピューター、CD、DVD、服、マンガ・BD、本……」がプレゼントの主流らしい。中学生の次男は「男の子はゲームソフト、ボードゲーム(jeux de société)とかかなぁ。車の好きな子ならリモコンカーとか…。女の子はよくわからないけど、ケータイとか服かも。女の子はケータイでテクスト(SMS)ばっかりやってるしさ」と教えてくれた。
インターネットでアド(ティーンエージャー)向けプレゼントを検索すると、上記デジタル系機器のほかには、人気TVシリーズのDVDや流行のブランドやアイテムなどアイデアが満載だ。流行を把握できない親には力強い味方かもしれない。
先月、パリジャン紙に掲載された世論調査によると、一家庭でノエルのプレゼントにかける予算の平均は、今年は去年より60ユーロ増えて270ユーロだとか。うち、自分の子供用のプレゼントは172ユーロ。それ以上出せる親にとっても、出せない親にとっても、ノエルは親の頭を悩ませる時期だ。(し)