どうして哲学を高校生に教えるのか

 フランスの高校では3年生になると哲学の授業がある。日本だと、世界史や日本史でほんの少し学ぶくらいだが、フランスではれっきとした一つの科目なのだ。
 なぜ、高校生に哲学を教えるのか?  教育省の学習指導要領によると、自分で考えて判断する力や哲学的素養を身につけさせるためだという。息子の哲学の教科書を見てみると、学ぶべき「概念notion」と「指標repère」が巻頭に書いてある。「概念」は、主体、文化、理性と実在、政治、道徳の5項目に分かれており、さらに意識、知覚、言語、芸術、真実、社会、自由、義務といった25の小項目に分かれている。「指標」というのは、「絶対と相対」、「信じる/知る」、「合法と正当」など、相反したり、関連する概念をリスト化したものだ。その後に、年代を追って、西洋の主な哲学者や思想家の紹介や、先に挙げた概念・指標に関連した著作の抜粋が載っているという構成だ。
 もちろん、厚さ2センチもある教科書をすべて勉強するわけではない。普通科だと、哲学は文系コースで週8時間もあるが、経済コースは4時間、理系コースは3時間だから、古代から現代までの思想や哲学を網羅することはできないだろう。
 理系コースの長男に聞いてみると、哲学はけっこう好きだという。数学や理系の授業が多いので(理系の3年生にはフランス語と歴史地理の授業はない)、哲学の授業は、ほっと息をつけるのだそうだ。哲学の授業は役に立つのか?  彼によると、「わかりきっていると思っていた、ある『概念』をよく考えてみると、そんなに明らかじゃないことがわかって考えさせられる」から役に立つのだそうだ。「それに、哲学の中に出てくる概念は、物理とかの概念とも関係がある」
 フランスのテストは論述式の回答を求められることが多いので、論旨を明確にして回答を引き出す能力を高める面でも有効かもしれない。哲学なんて高校生には難しいんじゃないかと思っていたが、そうでもないかもと思い直した。(し)

 

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