19世紀末、ドイツ、イギリス、フランスが大西洋横断の定期客船を就航させる。フランスの客船の中では、1936年に登場した〈Normandie〉は
「世界一長い」というのが自慢の豪華客船だった。ところが、この客船は1941年にアメリカ軍に兵士を運ぶ船として徴発され、火災に遭い姿を消してしま
う。大戦後、旅客機の登場と普及に押されながらも、フランスは1956年再び豪華客船の建設に踏み切り、1962年にこの〈France〉が就航する。
ル・アーヴルからニューヨークまで5日間かかった。船内にはプールがあり、映画上映や音楽会、正装しての晩餐会、舞踏会なども催される。今ではクルージン
グという優雅な航海があるけれど、当時は定期船でこうしたことが普通に行われていた。利用者の中にはビジネスマンや要人も多かったというが、せかせかした
現代人とはなんという違いだろう!
展示されているのは〈France〉の模型や部品、一等客室、二等客室など内部の写真、当時の新素材や流行を
とりいれてつくられた家具や調度品。そして何より「フランス」らしいのが「食」の部分。一流シェフが考えだすメニューがヴェルレーヌやロンサールの詩から
インスピレーションを受けていたり、子供向けのメニューにイラストがほどこされていたり…、とにかく洒落ているのである。
1974年に豪華客船〈France〉は運航がとりやめられる。旅客機の台頭、石油ショック、国の援助の停止などが命取りになった。今、再び〈France〉を復興させようという計画がある。実現すれば2015年には全長260mの船が就航。(海)
10月23日迄(火休)。月-木11h-18h、
金11h-21h30、土日11h-19h。3?-9?。
Musée National de la Marine
Adresse : 17 place du Trocadéro , 75016 paris , franceTEL : 01.5365.6953
URL : www.musee-marine.fr
10月23日迄(火休)。月-木11h-18h、 金11h-21h30、土日11h-19h。