「白い靴下を洗濯して、真っ白に仕上げるのは至難の技だよ!」と冗談を飛ばしたフィリップさん。今から31年前のある晩、モンパルナスのディスコで、出
会ったシーンだ。当時、コリーヌさんはバカロレア試験直前の受験生。夜な夜な「勉強会」に行くと偽り、朝まで踊りに行くお転婆娘だった。一方、フィリップ
さんはレストランの給仕係。閉店の深夜からディスコに繰り出し、女の子をひっかけるのが日課だった。上記のようなアプローチが功を成したのか、「外見もか
わいくて私好み。最初はバカな男だと思ったけど、フィーリングもぴったりあったわ」。すぐに最高の人に巡り合ったと直感したそう。
しかし二人の
道程は一筋縄ではいかなかった。学校をエスケープして彼の家に入り浸っていた彼女は、バカロレアに落ちる。母親からは、フィリップさんと会う禁止令までで
る始末。だが、あの手この手を使って、密会を続けた。紆余曲折を経て、彼女は大学を卒業。映画やモードのアタッシェ・ド・プレスに。85年から正式に、同
棲を開始した。19区のはずれに大きなアパートを借り、毎晩Cinéfolleと名付けた映画の上映会を開催。パーティに明け暮れ、狂乱の日々を過ごす。
出会って17年目、転機が訪れる。コリーヌさんが36歳の年、子供を持つか持たないかの問題が持ち上がった。「彼女は母親なんかにはなりたくなかったし、
ずっと娘のままでいたかったんだ」と彼は代弁する。ユダヤ家庭に育った彼女にとって、「家族」は肝要なものであると同時に、サクリファイスの象徴だった。
なぜ産む選択をしたの?
との質問に「母のためよ」と即答するコリーヌさん。フィリップさんはカトリック出だが、結婚をしない考えに賛成だ。「義務はイヤ。もし結婚していたら、す
でに離婚していたわ。結婚がなかったからこそ、今でも続いているのよ」。永遠に青春を謳歌したいと願う二人。13歳になる息子は、そろそろ思春期を迎え
る。彼らには、どんな日々が待っているのだろう。(咲)
これから相手に期待したいことは?
「これからも変わらないで。ありのままの君でいてね」(フ)
「信頼関係」(コ)
前回のバカンスは?
「昨夏、息子を連れてベネチアへ。2週間、リド島のアパートを借りて、自転車で島を巡ったの。海で泳いで、ベネチアを観光して…最高だったわ」(コ)
夢のバカンスは?
声をそろえて「桜が満開のころの日本へ! 現在、日本語を勉強中です」
最近、二人で行ったイベントは?
「2月、彼女に連れられて、オペラ・ガルニエで『Jules César』。初めてのオペラ座、初めてのオペラ体験に感激したよ!」(フ)
お気に入りのレストランは?
Miroir(94 rue des Martyrs 18e 01.4606.5073)
「サクレクール寺院と、僕たちのアパートからすぐ近くのビストロ。クリエーティブなフランス料理だよ」(フ)
カップルとしての満足度を5つ星でいうと?
★★★★★「満点じゃなきゃ、こんなに長く一緒にいないよ!」(フ) ★★★★★「頼りになる存在なの」(コ)