1967年10月、ボリビアのアンデス渓谷にある小学校で処刑の時を待つ男が二人。一人はチェ・ゲバラの呼び名で知られる革命家、もう一人はゲバラに独占
インタビューをしにきて捕えられたジャーナリスト。ゲバラの最後の数時間が、アルゼンチン人作家ホセ・パブロ・フェインマンの筆による二人の男の会話と共
に描かれていく。キューバ革命について、カストロとの関係について、革命後の政治犯の処刑について…。そもそもゲバラが思い描く革命とは?
暴力を行使せず革命はできるのか?
ジャーナリストが投げかけるこれらの質問をきっかけにゲバラが回想するシーンがフラッシュバックとして舞台の上で展開する。
2004年にはウォ
ルター・サレスが『モーターサイクル・ダイアリー』を、そして2008年にはスティーブン・ソダーバーグが『チェ』を監督し、ゲバラの生涯や思想、そして
人物像が近年再び脚光を浴びている。フェインマンが1998年に書いたこの戯曲は、もちろん上の2作品と同様にゲバラ自身の著作や伝記などをベースにしな
がら独自の脚色がされている。完全な人間なんてどこにもいない。二人の男の会話から、熱血漢であるのと同時に冷静なゲバラが掲げる革命や理想の欠点が浮き
彫りにされる。今でもTシャツやポスターに印刷されている英雄ゲバラとは別の一面を見た気がした。ゲバラ役はオリヴィエ・シトリュク(よく似ている!)、
ジャーナリスト役(回想部分ではカストロ役も)を演ずるのは圧倒的な存在感を見せつけるベテラン、ジャック・フランツ。演出はアヴィニョンの劇場
Chêne Noirの座長でもあるジェラール・ジェラス。(海)
Théâtre Petit Montparnasse
Adresse : 31 rue de la Gaïté, 75014 parisTEL : 01.4322.7774
URL : www.petitmontparnasse.com
火-土19h、日15h。