ミラの態度で困ることがあった。自分の髪を多量にひっぱって抜いてしまうのだ。例えば、私が夕食の支度中、「今は忙しいから遊べないよ」と
言った時など、不満そうに無言で髪をむしり始める。ジルも私も髪が薄い方なので、見ていて余計にハラハラ。思わず、「キャー、パパみたいに禿げるから止め
なさーい!」と慌てて止めさせようとするが、効果はない。
そこで、保育園に週一回来る心理カウンセラーに相談してみることに。まずすぐに、「子供がしかける罠にのらないこと」と諭される。つまりミラは、料理中
の私の気をひこうと、自分の髪をむしるのだ。そんな彼女の態度に、私がすぐに過剰反応すると、それは子供の思うつぼ。「ママの驚くのが楽しくて、せき込む
癖のある子までいる」のだとか。そして大切なのは、言葉による説明。たとえ子供が1歳だろうと、「料理が終わってから相手するからね」とはっきりと説明す
るのだ。このフランスの言葉重視の傾向は、有名な心理学者フランソワーズ・ドルトの影響も大きいだろう。日本では、何も言わずに抱っこする方が、しっくりする時もあるものだが。
その後、ハゲになりそうなミラの頭を心配しつつ心理カウンセラーの助言を守って行動したところ、二週間目にはミラの困った態度は、すっかり直ってしまったのだった。(瑞)