ドーフィネ地方のイゼールの谷やヴェルコールの高原で作られているチーズがサン・マルスランだ。直径8センチ、高さ2センチ、80グラム前後の小型チー
ズ。陶器やプラスチックの小さな器に入っているところなど、しばらく前に紹介したサン・フェリシアンにそっくりだが、サン・フェリシアンが主に山羊乳から
作られているのに対し、こちらは100%牛乳。といっても、以前はもっぱら山羊乳の農家製だったという。
自然にできた柔らかでやや青みがかった白く薄い皮、身はきめ細かくむっちりとしている。味はどこまでもクリーミーで軽い酸味が感じられる。塩がきつかっ
たり、身がなめらかでないものは避けたい。室温に数日置いておくと、切ったとたんに流れ出そうになるが、これ
を田舎パンに塗りつけるようにして味わうと、うまい!
ワインは、フルーティーで軽いボージョレの赤とか、ブルゴーニュのあまり辛口でない白もおすすめだ。(真)