女優で映画監督、田中絹代。
田中絹代(1909 – 1977)といえば、まず日本映画の黄金時代を代表する大女優として知られる存在だろう。スコセッシやダルデンヌ兄弟が推薦する溝口健二の『山椒大夫』、アキ・カウリスマキが推薦する『赤ひげ』などが、すでに LaCinetek のリストに並んでいる。
そしてもう一つの顔が映画監督。彼女は日本2番目の女性監督であり、生涯で6本の映画を残したパイオニア的存在だ。2021年頃から欧州で湧き上がった田中絹代 “監督” 発見の流れに乗り、現在ではその監督作全てが4Kデジタル修復版で鑑賞できる。中身は恋愛ドラマの『恋文』『月は上りぬ』、女性歌人の実話の映画化『乳房よ永遠なれ』、社会派群像ドラマの『女ばかりの夜』、歴史に翻弄される女性のドラマ『お吟さま』『流転の王妃』などジャンルも様々。
繊細かつ隅々までプロ意識が漲る映画表現は、溝口、小津、成瀬ら巨匠の隣で最高峰の映画作りをつぶさに見てきたからこそ可能だったと言えよう。また、日本映画の専門家パスカル=アレックス・ヴァンサンは、「他の当時の日本映画では決して見られなかった女性からの強い視線を感じさせる」と指摘する。長らく男性優位にあった日本の映画業界において、映画作りは大女優だったからこそ可能だった挑戦でもあり、幸福な突然変異のような作品群と言えるかもしれない。映画史の中で独自の地位を誇る田中の映画作りの真髄を、この機会に発見されたい。
映画監督たちが応援する動画配信サイトLaCinetek –「田中絹代 Actrice&réalisatrice」開催中。
LaCinetek では 6月27日 まで、その6本全てが一挙に鑑賞できる貴重な機会を用意。欧州の田中監督発見の立役者のひとり、元ロカルノ映画祭ディレクターのリリー・アンスタンが『女ばかりの夜』を、女優のモード・ワイラーが『乳房よ永遠なれ』をと田中作品を紹介するボーナス映像も併せてご鑑賞を。
Netflix、Prime Video、Disney+など、サブスク(定額課金)形式の動画配信サービスの選択肢は数多い。なかでもフランスにいられるからこそ入れる LaCinetek は、映画ファンを満足させる独自路線を貫く。現在約2000以上の作品が集まるが、選定の基準が画期的。世界の映画監督が自分の作品“以外”から、理想的な映画ライブラリーとなる作品を約50本選出。そちらを基にカタログが組まれているのだ。
参加監督の名は目を見張る。マーティン・スコセッシ、ケン・ローチ、ヴィム・ヴェンダースらに加え、ポン・ジュノや黒沢清らアジア勢も。フランソワ・トリュフォーやシャンタル・アケルマンら、すでに鬼籍に入っている監督でも、残した著作などから彼らの偏愛作品リストが作られた。名匠がどんな作品を愛し、自身の映画制作の糧にしてきたかがうかがえ興味深い。その映画リストだけでも一級の映画資料だ。現在、La Cinetekは、作品ごとに課金して視聴できるほか、毎月La Cinetekがテーマを設定し、カタログの中から選ばれた10本が見放題となる破格の定額制(年49€)を用意している。 そんな LaCinetek による、田中絹代ネット上のレトロスペクティブ「Kinuyo Tanaka Actrice&réalisatrice」。ぜひこの機会にご利用を。
★1ヵ月無料トライアル!★
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