30年前、カンヌ映画祭「ある視点部門」に出品された、相米慎二監督(1948-2001)の「お引越し(仏題 : Déménagement) 」。この10月25日、フランスで初めて劇場公開されることになった。相米監督といえば、工藤夕貴主演「台風クラブ」、薬師丸ひろ子主演「セーラー服と機関銃」などの代表作がある。タイトルを目ににしただけで、主題歌のあの声、メロディーやポスターなどが蘇ってくるだろう(あの時代を生きた人は…)。
時代をギュッとフィルムに凝縮した青春映画を作る相米監督が故人となって久しいが、公開から30年となる今年、ヴェネツィア国際映画祭のクラシック部門では、4K デジタルリマスター版が最優秀復元映画賞を受賞した。
主人公の少女・れん(田畑智子)は小学6年生ながら思ったことを、学友たちにも大人に対してもサラっと言える、利発で、駆け足の速い少女。両親(中井貴一と桜田淳子)と3人、たのしく暮らしてきたが、父親が家を出てゆくことになった。大人たちにはそれなりの事情があるようだが、れんには不可解きわまりない事態だ。饒舌だった彼女も急に言葉が滞るようになり、クラスでも突飛な行動に出るようになる…。
この主人公に、ハラハラさせられ、魅了され…映画のあいだじゅう圧倒されっぱなし。それもそのはず。れん役の畑智子は、この映画のために8000人以上もの少女のなかから抜擢された逸材。モヤモヤを感じ迷走しながらも、大人への境界線を越える主人公を見事に演じている。父親役にはまだ若く肌がスベスベの中井貴一、母親役には桜田淳子。ちょっぴり鼻にかかった甘い声で歌うアイドル淳子ちゃんとはまったくの別人のような女優・桜田淳子の発見もこの映画の魅力だ。この作品を最後に芸能活動から身を引いたというのが残念でならない。来年は「台風クラブ」もフランスで公開になるという。30年経ってフランス、イタリアで真価が評価されつつあるということだろう。
下記招待券プレゼントは、締め切りました。
たくさんのご応募、ありがとうございました!
今回当選しなかった方、すみません、また別の機会にぜひご応募ください。
読者プレゼント情報はにニュースレターで配信しております。
ニュースレター登録はこちらのページから。
***オヴニー読者プレゼントのお知らせ***
読者8名様に「お引越し」の招待状をプレゼントします。
メールにお名前、ご住所を明記のうえ、ご応募下さい。
【応募締切】2022年10月18日(水)23:59