2024年7月末に開幕するパリ夏季オリンピック・パラリンピックのチケット販売の第1弾が2月15日に始まった。一方で、1年5ヵ月後に迫った開催に向けてロシア参加問題も浮上している。
3月15日までのチケット販売第1弾(約300万枚)は、1種目を1セッションとし3セッション、30枚まで購入できる「パック販売」。昨年12~1月末に公式サイト(https://tickets.paris2024.org)に登録し抽選に当たった人が購入できるシステムだ。第2弾は開閉会式を含むシングルチケットの販売で、同方法で登録は3月15日から(未登録の人)、販売は5月から。第3弾は年末、パラリンピックのチケット販売は秋になる。
「みんながアクセスできる五輪」を謳うパリ五輪の総数1千万枚のチケットは種目やカテゴリーによって1枚24€(パラリンピック15€)以上で、種目によっては高すぎるとの声も。12億4千万€の販売収入を見込んでおり、総費用43億8千万€の28%をカバーする。仏政府は学校、若者、障害者、五輪関係者らのために延べ100万席を確保する。
チケット販売スタートで始動した感のあるパリ五輪だが、ロシアの参加を巡る論争が過熱している。国際オリンピック委員会(IOC)が25日に、ロシアとベラルーシ国籍でも、ウクライナ戦争を積極的に支持しない選手は、国を代表しない中立の立場で参加できるという方針を発表。これを受けてゼレンスキー大統領は、欧米、日韓など35ヵ国のスポーツ相が両国選手の参加問題を協議した10日のビデオ会議で、「(両国の参加は)暴力と黙認の印」と強く反対した。英、ポーランド、バルト三国、チェコ、北欧諸国は両国の参加に反対の姿勢を明らかにし、ポーランド、ラトビア、エストニアはウクライナとともに大会ボイコットも辞さない構えだ。
これに対し、トーマス・バッハIOC会長は11日、参加国を決めるのはIOCだとし、両国選手を国籍だけを理由に排除するべきではないと発言。先の35ヵ国のスポーツ相会議は20日、IOCに対して「中立の立場」の実現性に懸念を示す書簡を送った。IOCは各国の五輪委員会を招集する夏までに最終的な方針を決定するとみられる。フランス政府はIOCの意向を尊重するとしているが、イダルゴ=パリ市長はロシア選手の中立参加に賛成の立場から7日に反対に転じた。
ロシア選手はドーピング制裁で近年の五輪ではロシア五輪委を示す「ROC」の呼称で国旗なしで参加していたが、ドーピングと軍事侵攻を同列にはできない。ロシア参加問題の議論は続きそうだ。(し)