マルチニーク島のミュージシャン、カリについて、90年代の初めにこんなことを書いた。「砂糖キビ畑で疲れた体を休めているときに、ふと口ずさみたくなるメロディーの懐かしさと安らぎを持っている。軽妙なカリのバンジョー(…)あっちの畑では誰かが太鼓をたたいている。ビギンやマズルカのリズムにのって、ぼくらも腕を組みながらクルクル回ろうね」。今でもこの『Racines』の1枚目は大傑作だと思う。やはりマルチニークのグループ、マラヴォワの、ヴァイオリンが奏でる都会的で上品なビギンではなく、バンジョーから生まれるたぐいまれな、ひなびた美しさ。1992年にはユーロビジョンにフランス代表で参加し、クレオール語で歌って話題になった。
カリが今どんな音楽をやっているのか?YouTubeをのぞくと、ときにはレゲエやカリプソ、カーボベルデのモルナに近づいたりしているが、彼本来の歌心は変わらない。今回の公演は、ほかにギターと打楽器だけとシンプルなだけに期待大。バラードの名曲『Abandon』などを歌ってほしい。(真)
12月6日 20h開場/21h開演。32€。
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