臨場感を追求した体験型上映システム4DX。バンコク、LA、ロンドンに続き、パリ上陸は2017年3月のこと。国内初の4DX映画館は19区ラ・ヴィレットのPathéだった。現在は国内30館以上で体験可能だ。
筆者も子供にせがまれ一緒に行くことに。見たのはマイケル・ドハティ監督の『Godzilla2 : Roi des monstresゴジラキング・オブ・モンスターズ』。日本で誕生した猛獣も今年で65歳。退職知らずのゴジラは、今や堂々たる世界のスター。ゴジラはもちろん三頭のキングギドラ、モスラ、ラドンなど日本人に懐かしい巨獣が大暴れ。対する人間サイドは特別研究機関モナークの奮闘が描かれるが、前作『Godzillaゴジラ』(2014)に引き続き、「ゴジラの味方」こと芹沢博士(渡辺謙)も再登板する。
全編派手な闘い満載で体験型上映にぴったり。椅子が動き、スクリーンは3面。視野270度まで広がる。風、雨、煙が出る。背もたれからは猫パンチ。紙吹雪も舞い気分は北島三郎だ。森のシーンでは森を思わせる爽やかな芳香が。筆者は後頭部に風が吹き付けるたび、驚いてつい叫んでしまう。隣の子供からは「うるさい!」と叱られ、鑑賞後は「もう絶対一緒に4DXは見ない」と宣言された。さて、仕掛けの数々は遊園地のアトラクション気分で面白いが、結局ドラマに入り込めたかは自信がない。自分の場合はかえって気が散ってしまった。値段も大人24,20€と高い。
数日後、今度は音と映像にこだわる上映システムDolby Cinemaで『Rocketmanロケットマン』を観賞へ。エルトン・ジョンの半生を描く伝記ミュージカルで、監督は『ボヘミアン・ラプソディ』のデクスター・フレッチャー。こちらは上下左右から飛び出す音に包まれる感覚。色彩も鮮やかで締まりがある。椅子がファーストクラスのシートのようにフカフカで、快適さのあまり一瞬意識が飛んだのは不覚だったが。とはいえ没入感を楽しめる迫力の映画体験をしたい方には是非お勧めだ。(瑞)