ヴォルテールが基盤をつくったフェルネの町。
フェルネの町はヴォルテールが造ったといえる。彼の町づくりを知るために旧市街の散策をしよう。
まずはヴォルテールが建てた劇の入口と外壁（①内装は取り壊されて無い）。劇作家であり、役者でも演出家でもあったヴォルテールの劇場に対する思いは熱く、1776年の初演にはパリから当時の大俳優を招いている。
町の中心であるグランリュ（Grand’rue）④を次の交差点まで歩くと右手にヴォルテールのブロンズ像②が見える。この像の立つ通りがヴォルテール大通りで、突き当りが市役所。市役所に向かうとまずヴォルテール像に挨拶できるようになっている。その銅像の台座には、「フェルネの恩人ヴォルテールは、この町に100軒以上の家を建て、教会、学校、病院、貯水池、水飲み場を寄付し、周辺の村々に無利子でお金を貸した。沼地を干拓し、1771年の大飢饉の時、住民に食料を供給した」と偉業が刻まれている。
またこのグランリュ④自体がヴォルテールによるもので、通りに面する土地を、あるいは建売住宅を新参者に与える土地開発業も営んだ。この通りの端に公共の水飲み場⑤を設置し、通りの舗装を行ったのも彼だ。
©Daniel Gilet-Aintourisme
噴水の向かいにはヴォルテールの秘書で後にフェルネの市長になるジャン＝ルイ・ヴァニエールの家（現在はホテル）⑥がある。噴水で右折するとメイラン通り。ヴォルテールの後援を得た職人や商人の工房や店⑦が並ぶ。なかでもジュネーヴを追われた時計職人の工房2軒⑧は有名で、ヴォルテールはその時計をフランス王室やヨーロッパ中に売り歩く営業マンでもあった。
その先には16世紀の農家をヴォルテールが改装してこの町最初のパン屋にした建物⑨。他にもこの地方特有の古井戸や家屋⑩、チーズ醸成所③、城を取り巻く散歩道（A.B.C）やヴォルテールの友人たちの館（♦印）など、この町は発見に満ちている。
ヴォルテールの略歴
1694 11月21日、パリで生まれる。
1704 ルイ・ル・グラン学院に入学、7年間在学。
1717 政治批判でバスティーユに投獄される。
1718 コメディー・フランスセーズで初の戯曲『オイディプス』初演される。
1726 バスティーユ投獄。数週間で釈放され渡英。ニュートンやロックの思想を知る。
1729 帰国。33年科学者シャトレ夫人と出会う。
1750 フリードリヒ大王の招待でプロイセンへ。
53年コルマール、54年ジュネーヴへ。
1759 『カンディード』出版。
1760 フェルネに移住。『寛容論』（1763）、『哲学辞典』（1764）を執筆。
1778 自作『イレーヌ』上演を観に病身でパリへ。観劇後、病状が悪化、5月パリに没す。
フェルネっ子自慢の朝市とおすすめレストラン。
Marché de Ferney-Voltaire
地元の人のもう一つの誇りは土曜の朝のマルシェ。週日は左右にジュラ山脈とアルプス山脈を仰ぐのどかでひなびた町が、土曜の朝だけヴォルテール像を中心に200店舗が軒を並べる巨大なマルシェとなり、町の住人のみならずジュネーヴとその近辺からの買い物客で賑わう。色とりどりの新鮮な有機野菜、山菜やきのこ、地元産のチーズ、ワインのみならず、海からの距離を考えると魚介類の鮮度や潤沢さにも驚くばかりだ。驚きは品質と量だけにとどまらない。パリを超える価格帯にも圧倒される。週日はスイスで仕事、週末はフランス式人生の楽しみ方（アール・ド・ヴィーヴル）を真似てみようと、地元チーズに地酒を試飲しながら全部見て回ると約2時間要。
Av. Voltaire et Grand’rue 01210 Ferney-Voltaire
毎週土曜8h-12h30
https://www.paysdegex-tourisme.com/marche-hebdomadaire.html
Salon Dégusthé Chez Augustine & Balthazar
町の散歩に疲れたら、気軽に一息つける場所が欲しくなる。ここは朝、昼、ティータイムといつでも友達の家感覚で立ち寄れる場所。遊具コーナーがあり子ども連れも気兼ねなく入れる。有機素材のみを使った昼食はすぐに売り切れるので予約した方が良い。
7 av. Voltaire 01210 Ferney-Voltaire
06.5079.1579
火～土 8h30-18h
https://salondegusthe.fr/
Mamma Trattoria
手打ちパスタとピザで定評の店。店内はレトロで、窓際と店の中央に洗濯紐が張られ、レトロな布ナプキンが洗濯ばさみで留めて干してある。これも室内装飾の一部なのだが、最初は驚く。控えめで家庭的なサービスで落ち着いてゆっくりできる。カフェを頼むとイタリアのどの家庭にも昔からあるアルミ製の直火式エスプレッソメーカーで煎れてくれる。日替わりの一品が15€。特製オリーブオイルや手打パスタなどを買うこともできる。
13 rue de Versoix 01210 Ferney-Voltaire
04.5040.7955
月～金：12h-13h30／19h-21h30
https://www.restaurant-mamma-trattoria.fr/
Château de Voltaire
Adresse : Allée du Château, Ferney-VoltaireTEL : 04 50 40 53 21
URL : http://www.chateau-ferney-voltaire.fr/
4月～9月は10h-18h 10月～3月は10h-17h 入場料：8€/26歳未満無料 。ジュネーヴ・コルナヴァン駅から約8㎞。郊外電車15番線にて22分、バス66番で22分、バスF線で26分。 ジュネーヴ空港より約6㎞(車で7分)。バス66番にて10分ほど。
