ナントからひと足伸ばして
Trentemoult
虹より鮮やかな壁が出迎えるトラントゥムー村
ナントから水上バスで10分弱。人口1600人のトラントゥムーはロワール河を越え向こう岸のルゼ市に属し、19世紀前半までは漁村として栄えた。20年ほど前から住民は船体用塗料を使い家の壁を自由に塗り始めたが、これが村の新しい風習として定着。その色彩は赤、青、緑、紫と虹よりも鮮やか。細く迷路のような小路を歩けば異国に紛れた不思議な気持ちがする。この村は、カトリーヌ・ドヌーヴ主演『恋路(La Reine Blanche)』(1991)のロケ地。ジャン=ルー・ユベール監督が近郊出身で、住民は今も本作が自慢の種。ガイドさんは「撮影中、私の姉がドヌーヴに自転車を貸したの」と嬉しそうに教えてくれた。今も川岸のクレープ屋の看板は映画のタイトルを誇らしげに掲げる。
Saint-Marc-sur-Mer
『ぼくの伯父さんの休暇』のロケ地 サン・マルク・シュル・メール
ナントから大西洋の港町サン・ナゼールまで63キロ。ふたつの町はロワール川で結ばれている。その水辺に並ぶ大型の現代アート作品を鑑賞する舟下りや散歩コース「Estuaire」は観光の目玉だ。そのサン・ナゼールからさらに6キロ先が、『ぼくの伯父さんの休暇』のロケ地サン・マルク・シュル・メール。1951年の夏にジャック・タチ監督が同作品を撮影した浜辺には、水平線を眺めるタチ監督が自演したユロ氏の銅像が立つ。改装された撮影地のホテルは今も「浜辺のホテルHôtel de la Plage」という名で営業中だ。