ジュール・ヴェルヌと映画
07年以降、町の最大の話題といえば、進化し続けるアトリエ付き都市型遊園地「Les Machines de l’Ile」。練り歩く機械仕掛けの巨大な象さんはジュール・ヴェルヌの『80日間世界一周』へのオマージュでもある。このナント生まれの世界的な作家は映画との関わりも深い。そもそも映画史に輝くジョルジュ・メリエス『月世界旅行』(1902)がヴェルヌ作品の原作だ。だから彼こそが映画芸術の想像の源泉とさえいえそう。だが本人は映画の創成期に立ち会いながらも自作の演劇化にご執心で、平面の映画は見下していた。映画は演劇の競合と考え、息子が映画化権を厳しくコントロールもした。
しかし当人の意志はともあれ、ヴェルヌ作品は映画化との相性抜群!アシェット社の前身エッツェル社が挿絵に力を入れたのも功を奏した。5千にのぼる緻密な挿絵は多くの監督の表現欲求を喚起しただろう。1950年代はヴェルヌ作品映画化の黄金期。中でもリチャード・フライシャーの大作『海底二万マイル』(1954)は映像におけるヴェルヌの世界観を決定づけた。以後も映画化は止まず、今やシェイクスピアを押さえ300本以上の映画化作品を数える作家に。21世紀のアニメ『ファイティング・ニモ』だって、ちゃっかり「ネモ船長」から名前を拝借している。
ナントの高台にはジュール・ヴェルヌ博物館も。
資料や直筆原稿、ゆかりの家具を展示。子供時代の作文も残るがスペル間違いもあって親近感がわく。
Musée Jules Verne 3, rue de l’Hermitage 44100 Nantes
http://www.julesverne.nantesmetropole.fr/home.html