3月22日朝、ブリュッセル郊外のザヴェンテム空港と、市内の地下鉄で爆発があり、35人が死亡、約350人がけがをした。
「イスラム国」(IS)を名乗るメディアが犯行声明を発表。犯人のうち、少なくとも1人が逃走しているとみられ、ベルギーだけでなく、欧州で捜索が続いている。
午前7時58分、空港の出発ホールで2度爆発が発生。9時過ぎには、ブリュッセル市内の欧州連合(EU)の施設の集まる地区にある地下鉄マールベーク近くを走行していた車内で爆発が起きた。空港で15人、地下鉄では13人が死亡し、日本人2人を含む130人以上が負傷した。
ベルギー警察は、事件直後からブリュッセル地域などで複数の家宅捜索を実施。このうちスカールベーク地区では、鋲(びょう)を含んだ爆発物のほか、化学薬品、「イスラム国」の旗が見つかった。当局は空港の防犯カメラに映っていた3人の男のうち、1人を指名手配。2人は持っていたスーツケースを爆発させて自爆したが、残る1人は逃走したとみられる。メディアによると、現場から、爆発していない爆弾と、カラシニコフ銃が見つかった。当局は24日、逃走した実行犯と思われる人物を拘束したものの、取り調べの末、嫌疑不十分で釈放した。
事件当日は、ブリュッセルの空港や地下鉄、鉄道など公共交通機関が閉鎖された。ベルギー政府は3日間の国喪を発表し、ブリュッセルの証券取引所前の広場には、花やろうそく、メッセージを手向ける人が集まっている。
事件の4日前には、昨年11月13日にパリで発生した同時多発テロ事件に直接関与したサラ・アブデスラム容疑者(27歳)が、ブリュッセル北部のモーレンベーク地区で逮捕されていた。この逮捕が、ブリュッセルの同時テロ事件と直接関連があるのかは不明だ。ブリュッセルは、EUや北大西洋条約機構(NATO)の本部がある欧州の首都。事故翌日の23日、フランスのメディアも、ブリュッセルの事件を「ヨーロッパの心臓部、攻撃される」などと一斉に報じた。ブリュッセルは、パリのテロ事件の犯人グループの基地となった場所でもあり、当局は警戒レベルを高めていたが、ヨーロッパ中が恐れていたことが現実となってしまった。(重)