経済協力開発機構 (OECD)は10月5日、多国籍企業の租税回避への対抗策について62カ国が合意したと発表した。合意したのは米、英、独、仏、ロシアなど大国のほか、アイルランド、ルクセンブルクなど租税回避を支援していた国も含まれる。対抗策は、実際に利益を上げた国で多国籍企業に課税する原則が確認され、国ごとに事業内容を申告するよう企業に義務付け、国際租税協定を租税回避に利用することを防止する。タックス・ヘイヴンに移転された利益に対しても本国が課税できるルールを強化し、デジタル取引に対しても特定国に固定事業所があるとして税金を払わせることなど。多国籍企業の租税回避による各国政府の法人税減収額は、1千億~2千4百億ドルと見積もられているが、今回の合意で即効果が出なくとも、国際的な協調姿勢が確認されたことの意義は大きい。(し)