コメディ・フランセーズにモリエールやラシーヌなどの古典演劇を観に行くのもいいが、時には、演出家、俳優たちがフランス未公開の戯曲で演劇の新しい表現を探っている真剣な姿に触れてみたい。
『貧困、富、人間、動物』は、『十三の無気味な物語』などで知られるドイツの作家ハンス・ヘニー・ヤーンが1933年に書いた戯曲。田舎の山、谷、風、雪を背景に、貧しいが善良で若く美しいソフィア、ソフィアに惚れぬく一途な農場主マナオ、マナオと結婚するためには手段を選ばないアンナ…。そして、この人間ドラマの核に魔法の力を持った一頭の馬がいる。あら削りで時には暴力的な言葉で表現される、癒されることのない愛、欲望、殺意、陰謀…。演出のパスカル・キルシュは、グリムの童話を思わせる幻想的かつ残酷な世界、どこか表現主義的な暗さを現出させる。音楽はリシャール・コント。(真)
9日まで (7日をのぞく)19h30。
4日は17h。13€。
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