番狂わせ。

 「スクラブル」はアルファベットと数字が書かれた牌を「2倍」、「3倍」などと記されたマス目に並べて言葉を作り、点数を競う言語ゲームだ。7月22日の『ル・パリジャン』が伝えたところによると、ベルギーのルーヴァン・ラ・ヌーヴで開かれたフランス語スクラブルの世界選手権で、とんでもない番狂わせが起きた。フランス語圏出身の強豪たちを退けて世界チャンピオンの座についたニュージーランド人のニゲル・リチャードさんは、何と、フランス語をひと言も話さないというのだ。
 名詞ばかりでなく、動詞の活用形なども駆使しなくてはならないこのゲーム、外国人は相当フランス語に通じていないと、選手権はおろか一般のフランス人に勝つのも難しい。だが、ニゲルさんはたった2カ月で金字塔を打ち立てた。しかもその手法が凄まじい。元々、英語版スクラブルの選手だった彼は、言葉だけを羅列したスクラブル用の辞書を丸暗記して文字の配列だけを記憶したというのだ。そんな驚異的な記憶力を武器に、胸まで無精ヒゲを蓄えた仙人のような彼は、フランス人でも知らないような動詞の活用形を繰り出し、ネイティヴたちを撃破していった。全仏チャンピオンのピエール・カレンディニさんは、彼を「宇宙人」と評した。
 宇宙人。確かに、大学入学資格試験バカロレアで受験生がスペルミスを しても「お目こぼしにしろ」などという訓令がまかり通る今のフランスでは、すでに外国人が現在形でも単純過去形でも正確にスペルできてしまうこと自体、ひとつの怪奇現象なのかもしれない。(浩)


 

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